ワークフロー・ワークフローシステムの導入、リプレイスで失敗しないためのポイント

多くの企業が幅広い社内業務で利用するワークフローシステム。スクラッチ開発のワークフローシステムから、SaaSの業務特化型ワークフローなどへのシフトが急速に進んでいるが、いまだに紙を回付するアナログのワークフローを続ける企業も少なくない。本コラムでは、企業においてワークフローシステムが必要とされる理由について触れながら、ワークフローシステムを導入するにあたって、製品・サービス選びのほかに見落としがちなポイントについて解説する。

ワークフロー リプレイス 導入

INDEX

    ワークフロー・ワークフローシステムとは

    ワークフローは文字通り、業務(ワーク)の流れ(フロー)のこと。製造業では古くから、生産効率化や品質向上などを目的に、フローチャートなどで図式化して定義していたが、近年は広く一般企業でも導入が広がり、全社や部門の制度・ルールとして確立されている。経費精算や休日取得など各種申請・承認、企業内での合意形成を図る稟議などの社内業務は、すべてワークフローに該当し、企業にとってガバナンスを実現するうえで欠かせないものとなっている。

    これに対しワークフローシステムは、デジタル技術によって効率的なワークフローを実現する仕組み(システム)のことで、 “ワークフロー”のみでワークフローシステムを指すこともある。かつては百社百様の業務フローに対応するため、スクラッチで開発しオンプレミスで運用するケースが多かったが、昨今は、勤怠管理や経費精算など業務別のSaaS製品が主流となっている。

    ワークフローシステムが必要な理由

    例えば、稟議の場合、かつては紙の起案書+添付資料を決裁者全員に予め決められた順で回付し、全員の決裁印(サイン)を得る形で決裁していた。しかし、こうしたアナログのやり方では下記のような課題が生じる。

    課題① 決裁までに時間がかかる

    アナログの稟議では、予め決められた決裁ルートに従い、順番に1人ずつ決裁することになり、出張や会議出席などで席を空けている間は、決裁箱の中で滞留することになる。数時間の会議出席であればまだよいが、出張で数日不在の人が複数いる…となると、その影響は大きい。また、拠点を跨ぐ稟議の場合、書類一式を社内便や郵送で届けるのにさらに時間を要することになる。決裁者が十数人に及ぶケースでは、ビジネススピードに悪影響を及ぼすことになる。

    課題② 進捗状況が見えない

    課題①と密接に関わるが、アナログの稟議では、今、稟議がどこまで進んでいるのか知る術がない。順に電話をして確認し決裁を急ぐよう催促するしかないが、出張中の場合は次の出社を待つしかない。起案者(起案部門)にとって、いつ決裁が下りるのか見通しが立たず、物理的かつ心理的な負担も大きい。

    課題③ 紙代などコストがかかる

    アナログの稟議では、紙代やプリント代はもちろん、社内便や郵送の費用、決裁が下りた書類の保管コストなど、塵も積もれば…のコストも無視できない。

    課題④ 改ざん・紛失のリスク

    稟議の途中あるいは決裁が下りた後で、特定の意図をもって書類が改変・改ざんされる可能性があるほか、稟議の途中で一部の添付書類をうっかり紛失or廃棄してしまうなど、ヒューマンエラーのリスクも排除できずガバナンスの視点で課題が残る。

    課題⑤ テレワークに対応できない

    コロナ禍を経て、オフィス出社とテレワークを柔軟に選べるハイブリッドワークを採用する企業も多いが、オフィス出社を前提とするアナログの稟議で決裁スピードを優先しようとすると、決裁者に限りテレワークは不可ということになる。

    ワークフローシステムを導入すれば、こうしたアナログの稟議の諸課題を一気に解決できる。書類一式を含め稟議フロー全体を電子化でき、紙の決裁書類の作成や保管から解放、起案者(部門)はシステムに文書ファイルをアップするだけでよい。決裁者は出張先やテレワーク中の自宅でも決裁でき、滞留発生が減ることで決裁完了までの期間が短縮される。今、どこまで進んでいるのかをリアルタイムで確認できるほか、自動で操作ログが記録されるため、改ざん抑止効果も期待できる。これこそ、ワークフローシステムが必要とされる理由だ。

    ワークフローシステム導入のポイント

    “やりたいこと(変えられない業務)”に最適な製品を選ぶ

    ワークフローは、かつてはスクラッチ開発のワークフローシステムをオンプレミスで運用する企業が多かった。しかし、近年はクラウドファーストの考え方が主流となり、オンプレミスのワークフローを用途ごとにSaaSの専用ワークフローに移行する企業が増えている。SaaS製品については基本的にカスタマイズ不可で、特殊な業種や複雑なワークフローに対応できない場合があるが、SaaS導入に合わせて業務の見直し・変更が可能であれば問題ない。その場合は、SaaS製品の機能を比較検討して、自社の要件にもっともフィットする製品を選定すればよい。特殊&複雑なワークフロー運用が必須で、業務の変更もできないというケースでは、カスタマイズが可能な汎用ワークフロー製品(パッケージ)を導入し、オンプレミスorプライベートクラウド環境で利用するという選択肢がある。

    図版:ワークフローシステムの種類と特長

    SaaS製品 パッケージ製品 スクラッチ開発
    初期投資の規模
    個社ニーズの実現度 かなり高
    提供形態 パブリッククラウド オンプレミス(プライベートクラウド)

     

    製品選びだけでなくベンダ選びも重要

    アナログのワークフローから脱却すべくワークフローシステム導入をとなると、製品・サービスの機能ばかりに注目して選定しがちだが、もう1つ重要なポイントがある。それは、企業が“やりたいこと”を理解したうえで、最適なアプローチを提案しながら併走してくれるベンダ選びだ。パッケージ製品を導入し、自社の業務に合わせてカスタマイズするとなるとやはりコストが膨らんでしまう。これを避けるためには、その業務や進め方が本当に必須なのか(変えられないのか)を、一緒に考えてアドバイスしてくれるベンダを選びたい。業務のなかには、長年の慣行をただ惰性で続けているだけで、ビジネスのスピードアップや業務効率化の観点で、変更した方が良いものもあるだろう。ただ、社内の人間だけで進めようとすると、どうしても“今のままがいい”という判断に傾きがちだ。そこに、導入企業の業務や“やりたいこと”を理解したうえで、客観的な立場で最適なアプローチを提案してくれるベンダが入ることで、コストを抑えて“やりたいこと”と“業務改革”を実現する可能性が見えてくる。

    汎用ワークフロー製品「Exchange USE」を提供する富士電機株式会社では、ワークフローシステム導入に際し、対象業務の調査や現場担当者へのヒアリングなどに注力している。業務への落とし込みに不安を持つ企業は是非お気軽に相談いただきたい。

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