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[背景と課題]10年以上文書の電子化に取り組むが、紙中心の文化が根強く部門独自ルールも障壁に
現業部門を含め独自のルールが全社的電子化の障壁に
東京地下鉄株式会社における文書の電子化への取り組みは、平成20年前後にさかのぼります。当初は紙で回した決裁文書を最後にデータ化して保管するアプローチでしたが、現場になかなか定着せず、紙文書の保管に関わるスペースや工数なども変わらないままでした。人事部や財務部など各部が社内申請業務を持ち、紙やExcelなどそれぞれ独自の運用方法やルールが存在しており、また、一般的な企業にはない組織として、駅長や乗務員などが所属する現業部門を抱え、その中だけで完結する運用フローもありました。このような部門ごとのバラバラの“縦割り”の仕組みが、全社レベルでの電子化プロジェクトを阻む壁となっていた事情もあります。
ICT 基盤担当
りん議のスピードアップや効率化も課題
特に大勢の上位職に回覧して承認印を得る必要があるりん議においては、上位職が多忙で席にいない、対面で説明するのが大変で、なかなかお互いの時間があわず説明ができないなどの理由で承認が遅れ、決裁が遅れるケースが少なくありませんでした。自分(申請者)と上位職の両方が空いている時間がないと次に進められない仕組みは、ビジネスのスピードという面で問題となっていました。また、過去の文書を参考にして(ひな形として活用して)新しいりん議書を作成する際に、ファイルサーバなどから該当文書を探し出すのに時間がかかるなど、業務の効率化を進めていくためには、多くの課題がありました。
ICT 基盤担当 課長補佐
[解決と効果]「上位職に配布したiPad+ExchangeUSEで決裁をスピードアップ
総合力を評価し「ExchangeUSE」を選定。現状の棚卸と最適化に向けた調整に時間をかけ設計・構築
電子化の流れを加速し紙中心の文化を変革するには、りん議や申請のための紙文書を排し、最初から電子文書で回す必要があると考えました。そこで、決裁ワークフローシステムの導入に向け、複数のベンダ製品について比較検討を重ね、パッケージ製品の機能(業務要件の適合率)、SE力(業務スキル)、価格面など、総合的に検討・評価した結果、富士電機のワークフローパッケージ「ExchangeUSE」を選定しました。社内ではプロジェクトに入るまでの間、システム化の対象を、より大きな改善効果が期待できる決裁業務に絞り込み、まずは現状を“棚卸(精査)”することからはじめました。当初は紙やExcelベースの帳票をそのまま電子化しようとしましたが、精査を進めていくと文言が適切ではない、フローや承認者が業務の現状に照らして最適ではないなど、さまざまな問題が見えてきました。これらを“本来あるべき姿”にするべく、業務部門とのすりあわせなど社内調整作業に1年近くの時間をかけ業務要件を整理しました。要件定義の段階から富士電機のメンバーと毎日のようにひざを突き合わせる日々が続きましたが、業務の精査で洗い出し切れなかった問題点を含め、きめ細かく丁寧に進めていく中で、富士電機から提案いただき、りん議システムに対し監査対応の業務も組み込みました。これは当初の計画に含まれておらず、まさにシステム構築やりん議業務に精通したSEの方のアドバイスのおかげだと思います。現場部門との社内調整から始まり、富士電機とプロジェクトを進めたおかげもあり、2018年5月、りん議:3申請+その他申請業務:26申請の計29申請のワークフローシステムが稼働しました。
決裁がスピードアップ! 検索機能やテンプレート作成機能で申請業務の効率化も実感
現場部門からは、システム化によって決裁が早くなったと好評です。りん議のスピードアップを実現するため、決裁用のiPadを一部上位職に配布したのですが、ExchangeUSEの使い方よりも、iPadのネットワーク接続や操作方法などの問い合わせの方が多かったくらいで、ExchangeUSEについてはかなりスムーズに利用者に浸透した印象です。富士電機にも協力いただき運用マニュアルを作成したり、申請承認業務の操作説明会を実施したことも奏功して、9カ月経った現在はほとんど問い合わせもありません。過去のりん議文書をタイトルなどで素早く検索し、それをベースに(再利用して)新たに申請できる機能やテンプレート作成機能などによって、業務効率化につながっていると思います。ペーパーレス化による紙文書の削減効果はまだですが、今後保管期限設定が短い文書から順に廃棄していく中で実感できると思います。
[今後の展望]今後も富士電機との二人三脚で、決裁業務のさらなる効率化を目指す
1年間運用の効果を見極めて、残る決裁フローの電子化を検討。帳票内製化にもチャレンジしたい
ユーザ数など業務改善効果を考え、電子化を見送った決裁ワークフローがまだ多く残っています。稼働から1年を迎えるので、各業務部門と一緒に今回の全面電子化の効果を見極め、これからも順次電子化を検討していく計画です。また、3月末には稼働後はじめての組織改正を控えており、システムとしてデータがどう動くのか注意しながら、対応力を着実につけていきたいと思います。「ExchangeUSE」の集合教育に参加するなどして、新しい帳票の内製化などにもチャレンジしていく考えです。パッケージ製品の良さを生かしつつも、どうしても必要な最小限のカスタマイズについては今後も富士電機にお願いして、引き続きさらなる業務効率改善を目指したいと思います。
社名 | 東京地下鉄株式会社 |
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所在地 | 〒110-8614 東京都台東区東上野三丁目19番6号 |
設立 | 2004年4月1日 |
資本金 | 581億円 |
事業内容 |
1. 旅客鉄道事業の運営 2. 関連事業の運営
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従業員数 | 9,574名(2018年3月31日現在) |
会社URL | https://www.tokyometro.jp/index.html |