クラウドファースト時代でも変わらないワークフロー導入の“理想的アプローチ”

経費精算などのSaaS製品が人気を集め、申請業務に欠かせないワークフローの導入にも大きな影響をおよぼしつつある。今回は、ワークフローとは?という基本から入り、クラウド化が進んでいる背景などについて解説。クラウドファースト時代におけるワークフロー導入の“理想的アプローチ”について改めて考える。

ワークフロー 導入

INDEX

    経費精算だけじゃない!ワークフローのカバー領域

    ワークフローと聞いて、経費精算システムを思い浮かべる方はかなり多いのではないだろうか(あくまで主は経費精算機能であって、ワークフロー機能はそれに付属するという位置づけだが)。元々あらゆるオフィスワーカーが頻繁に利用するという点で重要性が高いことが理由だが、最近、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法改正が続き、経費精算システムのテレビCMを目にする機会が増えたことも背景にあるだろう。しかし、企業の中では、勤怠管理や各種申請など人事・労務関連や一般業務における稟議ほか、様々なワークフローが存在し、各社のルールに従い統制を効かせる仕組みとして欠かせない存在となっている。

    ワークフローにもクラウド化の波が押し寄せる

    各社のルールは、業界・業種の慣習や個社の歴史・企業文化を反映して確立されてきたもので百社百様だ。このため、かつて国内企業の多くは、様々なワークフローシステムをスクラッチで開発しオンプレミスで運用してきた。だが、ワークフローにもクラウド化の大波が押し寄せ、経費精算のように汎用的な業務について、機能を標準化したSaaS製品が続々登場している。古くは働き方改革の推進に向けて、直近ではコロナ禍でのテレワークや上記法改正への対応を契機に、オンプレミスのシステムをあきらめてSaaS製品にリプレイスするケースが増えている。

    SaaS製品にすべきか否かの判断基準とは

    ワークフローに限らずSaaS製品は、初期投資不要で導入できる、ハードウェアのお守りから解放される、ユーザ数を柔軟に増減できるなどメリットが多い。しかし、なんでもかんでもSaaS製品にすればよいという訳ではなく、下記のような条件・ポイントを考慮してSaaS製品にすべきか否かを判断する必要がある。

    小規模で、標準化できる申請業務については、SaaS製品を

    まず、導入規模がごく小規模である場合は、少ない初期投資で導入でき、ユーザ数分の月額料金で利用できるSaaS製品の方がコストや工数などの面で圧倒的に優位だ。標準的な機能で対応できそうな申請業務であれば、SaaS製品優先で検討・選定を進めればよい。

    大規模で、標準化が難しい申請業務や稟議については、SaaS製品以外を

    一方で、ユーザ数が多い企業でSaaS製品を導入すると、利用料がかさみ、例えば、5年間での比較でパッケージ製品をオンプレミスで導入する方が割安になる場合も。ハードウェアの運用管理の工数なども含めてTCOをしっかり見極める必要がある。また、長年培ってきた企業文化を反映した独自の稟議などについては、SaaS製品の標準的な機能では対応できない可能性が高く、事実上カスタマイズもできないことから、それ以外の選択肢をお勧めする。

    改めて考えるワークフロー導入の理想的アプローチ

    SaaS製品にすべきか否かの判断基準を前段で示したが、あくまで一般論であることを付け加えておく。標準化が困難な申請業務であっても、独自の企業文化や暗黙のルール自体が時代のニーズにそぐわないものだとすれば、むしろ改める(標準化する)べきで、それによってSaaS製品導入の可能性も出てくる。逆に、SaaS製品の導入を進めようとしたものの、業務の標準化が進まず頓挫した事例も耳にする。

    こうした事態を回避するには、まずはフラットな視点で現状を把握して問題点を明確化した上で、どうなりたいのか将来像を見据えてどういうシステムが望ましいか(SaaS製品で対応可能か否か)を検討していく、As-Is / To-Beのアプローチがお勧めだ。最終的にSaaS製品選定に至るケースにおいても、「予算もないし、とりあえずSaaSにするしかないか…」と短絡的に考えず、慎重に検討するべきだ。

    ワークフロー導入を成功に導くための2つのポイント

    最後に、前段の理想的アプローチをスムーズに進め、ワークフロー導入を成功に導くために押さえておきたいポイントとして、下記2つを挙げておく。

    原課部門のニーズと経営の意志をしっかり押さえる

    情報システム部門が中心になってワークフローシステムを選定する企業が多いと思うが、その場合は原課部門のニーズと経営の意志の両方をしっかり把握して最適解を導くことが重要だ。経費精算であれば原課部門は経理部門になるが、申請・承認のワークフローについて“これだけは絶対に譲れない”機能やUIがあるかもしれない。一方で経営トップの意志も重要な要素だ。例えば、“情シス部門のリソースをDX推進に振り向けたい”と考えているのであれば、オンプレミスの廃止&クラウド化が優先され、SaaS製品で対応できるか否かの検討に移るだろう。

    As-Is / To-Beを支援してくれるベンダを選ぶ

    理想的アプローチと言われても、時代の流れを踏まえ、客観性をもってAs-Is / To-Beを進めるのは意外に難しいもの。SaaS製品ベンダの場合、“提供する機能を自分たちで設定して使ってください”という考え方が基本なので、そのあたりのベンダサポートは期待できない。これに対し、カスタマイズ可能なパッケージ製品などの場合、製品の性格上そうしたアセスメントの作業が欠かせないため、As-Is / To-Beを進める上で外部の専門家のサポートを得たい企業は、こうした製品の導入を検討するのも手だ。

    「Exchange USE」を提供する富士電機株式会社でも、対象業務の調査や現場担当者へのヒアリングなどに注力しており、As-Is / To-Beについて手厚いサポートが可能だ。

     


     

    <コラム:ExchangeUSEとは

    様々な申請業務の電子化に対応する国産のワークフロー基盤(パッケージ製品)。旅費交通費・経費精算ワークフローや勤怠管理ワークフローを標準提供するほか、電子帳簿保存法対応オプションや電子契約オプション、Box連携オプションなども用意。きめ細かな設定が可能で、既存の社内規定や部門ルールを活かして稟議や申請・承認業務を電子化できペーパーレスに貢献する。導入形態としてオンプレミスかプライベートクラウドかを選べる。

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